領収書の役割
この項では、改めて領収書のあり方について考えてみたいと思います。
電子記録債権がまだ施工されていない時、領収書は代金を受け取った時に発行される支払い証明書となる書類でした。
そして領収書を発行することによって、二重請求を防ぐ役割を担っていました。
また領収書を発行する時、金額に応じて収入印紙を貼り付ける必要もありました。
このように領収書の発行は、代金を受け取った企業の義務でもあったのです。
電子記録債と領収書について
しかし2009年に電子記録債権が施工されてから、領収書の概念が大きく変わってきました。
というのも、電子記録債権はパソコンですべて処理することができるからです。
それは、相手の表情を見る必要がないことを意味します。
そこで疑問が生じてきます。
電子記録債権による取引全般において「領収書の発行をするか否か」ということです。
今までの義務からいけば、領収書は発行しなければなりませんが、実は電子記録債権の場合、領収書の発行は当事者間の取り決め次第で決めることができるのです。
例えば電子記録債権であっても、どうしても領収書が必要であれば発行しなければなりません。
この場合、収入印紙の貼付けは必要ありませんが、必ず電子記録債権で代金を受け取った旨を記載しなければなりません。
ただほとんどの場合、領収書の発行をする企業がないのが実情です。
記録事項の開示で対応している企業がほとんどです。
これからもわかるように電子記録債権による取引全般の領収書の発行は、ほとんど行われないということです。
複数回手形譲渡が行われる場合
1回の手形譲渡であれば、当事者間の了承のもと領収書の発行は必要ありませんが、複数回手形譲渡が行われた場合、中間の譲渡記録が閲覧できなくなります。
2回以上の手形譲渡が発生してしまうと、直近の手形譲渡記録しか開示されなくなってしまいます。
それ故、閲覧できなくなることを考えて、領収書の発行を選択する企業があるのも事実です。
どちらにしても領収書の発行は当事者間の決め事になるため、臨機応変に対応する必要があると思います。