電子記録債権と一括支払信託
債権を現金化する手段の1つに電子記録債権があります。
では電子記録債権以外に、債権を現金化する手段はないのでしょうか。
実は、電子記録債権と非常に類似している手段があります。
それが「一括支払い信託(ファクタリング)」です。
「電子記録債権と一括支払信託」どんな共通点がありどんな相違点があるのでしょうか。
電子記録債権と一括支払信託の共通点
まず、電子記録債権と一括支払信託の共通点について説明したいと思います。
電子記録債権も一括支払信託も、パソコンやFAXを使って譲渡することができます。
・電子記録債権=企業間の債権を電子的記録で管理していて、譲渡や割引もパソコンやFAXですることができます。
・一括支払信託=債権を取り扱う支払企業と受取企業が金融機関と契約して、受取企業は金融機関にその債権を譲渡することができます。
このように「債権を譲渡→支払期日前に資金化」できる点では、電子記録債権と一括支払信託の共通点といえます。
電子記録債権と一括支払信託の相違点
では、電子記録債権と一括支払信託の相違点について説明したいと思います。
電子記録債権(でんさい)は、株式会社全銀電子債権ネットワークが記録機関となって運営しています。
そして債権の支払企業と受取企業は、金融機関のシステムを通して「でんさいネット」にアクセスします。
ここで「でんさいネット」について触れておきます。
「でんさいネット=株式会社全銀電子債権ネットワーク」は全国の銀行協会が100%出資して設立した機関で、実際に1.300を超える金融機関が「でんさいネット」に参加しています。
つまり従来からある銀行間の決済システムを利用しているため、支払企業と受取企業が「でんさいネット」に参加している金融機関を持っていれば、新しい口座を作ることなく利用することができるのです。
一方、一括支払信託は支払会社と受取会社が個別の金融機関を通して取引をしています。
例えば取引先が増えるたびに、金融機関を交えて新たに契約を締結する必要があります。