電子記録債権にかかる「貸倒引当金」
現在、私たちの周りで運用されている手形のほとんどは約束手形だと思います。
この約束手形の主旨は、手形の発行者が手形の受取人に対して「決められた金額を決められた期日に支払う」ことを意味しています。
仮に約束手形が履行されなければ、不渡りになってしまいます。
実は電子記録債権には、ペーパー手形に起こり得る不渡りを回避する方法がとられているのです。
それを電子記録債権にかかる「貸倒引当金」といいます。
ということでこの項では、貸倒引当金について説明したいと思います。
ちなみに約束手形ともう1つの手形とは為替手形で、「振出人が第三者に対して、手形の受取人へ決められた金額を支払う」ように委託することをいいます。
そもそも引当金とは?
貸倒引当金とは
売掛金や貸付金といった金銭債権は、将来回収することができない可能性を少なからず含んでいます。
そして貸倒引当金とは万が一に備えて、回収不能見込額をあらかじめ見積り計上することをいいます。
また見積り額の算定方法ですが、過去の貸倒実績に基づいて計上されます。
しかし、そもそも引当金とはどういうお金なのでしょうか。
引当金という言葉は、賞与引当金や退職給付引当金などいろいろな場合に使われています。
例えばAさんは今住んでいるマンションが手狭になったので、引越しをすることにしたとします。
そして引越し費用は10万円で、Aさんにとっては非常に大きな出費でした。
そこでAさんは「今度、夕食をご馳走する」約束で、後輩4人に引越しを手伝ってもらいました。
この時、Aさんは引越し費用10万円を回避することができています。
しかし、Aさんは10万円を得したわけではありません。
何故なら、後日後輩4人と夕食することを約束しているからです。
つまり「過去に起きたことに対して、将来起こり得るマイナス」に備えて計上するお金をのことを、引当金というのです。
貸倒引当金は手形債権
上記に明記したことが、電子記録債権にかかる貸倒引当金の内容です。
そして、電子記録債権はあらかじめ貸倒引当金を計上するシステムがあるのです。
原則として、電子債権に係る税務上の貸倒引当金の取扱いは手形債権と同様となります。