.電子記録債権の譲渡について
電子記録債権を理解するうえで、頻繁に出てくる言葉があります。
それは「譲渡」です。
電子記録債権の譲渡を簡単にいえば、手書きの裏書や割引をいいます(手形の裏書譲渡)。
「手形における権利を第三者に譲り渡すことを手形の譲渡といい、その場合、必ずしなければならないことが裏書です。」
では手形の裏書には、何を明記することになるのでしょう。
手形の裏書(裏面)には、譲渡された手形の支払人になることが明記されます。
例えばもともとの手形振出人が決済不能になってしまった場合、裏書に記載された人物(裏書人)に支払義務が生じるからです。
図式に表せば次のようになります。
「振出人A社の手形→受取人B社の手形、仮にB社がC社に手形譲渡する場合、B社とC社の間で譲渡合意がなされます(B社が裏書をしてC社に手形を交付)」
では、B社の裏書にはどのようなことが記載されるのでしょうか。
「万が一、振出人A社が不渡りを起こした場合、C社はB社に対して手形を請求することができる。」
つまり裏書人のB社は、支払をすることによって手形を受け戻す義務があるということです(=遡求義務/償還義務)。
そして「根抵当権の範囲」でも触れましたが、裏書手形を受け取る場合(C社)は手形振出人だけでなく、裏書人の信用状態にも注意する必要があるということです。
電子記録債権とペーパ手形の違いは?
このように電子記録債権は譲渡することができるわけですが、そういう意味からすればペーパー手形も同じように譲渡することができます。
しかし電子記録債権とペーパー手形には、譲渡に関してまったく違う部分があります。
それは電子記録債権は何回でも分割して譲渡することができますが、ペーパー手形は譲渡はできても分割することはできないのです。
譲渡に関していえば、この相違点が電子記録債権にとって大きなメリットになっているのです
例えば1000万円の手形がある場合、電子記録債権は分割譲渡として500万円だけ支払先に譲渡することができるわけです。
(ペーパー手形の場合、譲渡するなら1000万円すべてを支払先に譲渡しなければなりません。)
手形の分割譲渡の注意事項
これが電子記録債権における手形譲渡の内容になります。
ちなみに手形の分割譲渡を行う場合、次の2つに注意をする必要があることを付け加えておきます。
・分割する債権は、「債権額を1万円以上、債権額以下とする」。
・支払期日の6銀行営業日前の日以降の電子記録債権は、分割譲渡することができない。