根抵当権について
金融機関で勤務されている方は、「根抵当権」についてご存知と思います。
しかし一般の方にとって、根底当権という言葉はあまり馴染みがないと思います。
そこで、まず根抵当権がどういう意味を持っているのか説明したいと思います。
○根底当権とは
根底当権は、当事者が定めた債権の範囲内の債権をすべて担保する担保権のことを指します。
そして、その担保権(債権)の範囲を「根底当権の範囲」といいます。
それではこの表題でもある「電子記録債権の根底当権の範囲」について、もう少しわかりやすく説明したいと思います。
電子記録債権の根抵当権の範囲
「被担保債権の範囲を『銀行取引 手形債権 小切手債権 電子記録債権』とする根抵当権の設定の登記の申請は,受理をすることができる」
実は2012年まで、電子記録債権には根抵当権の範囲は含まれていませんでした。
というのも電子記録債権に根抵当権の範囲を含まなくても、銀行取引約定書でカバーすることができると考えられていたからです。
しかし債務者が振出した手形や小切手が回りにまわって金融機関が割り引いた時、「本当に根抵当権で担保することができるの?」という議論になったのです。
事実、債権者と債務者の間に発生した手形や小切手は、根抵当権では担保されないという否定的な意見もありました。
そうした見解から、上記に明記した内容が含まれることになったのです。
手形債権と小切手債権(廻し手形)
ちなみに「被担保債権の範囲を<銀行取引 手形債権 小切手債権 電子記録債権』>」とありますが、手形債権と小切手債権について触れておきます。
・手形債権=手形に記載されている金額の給付を目的とする金銭債権。
・小切手債権=小切手に記載されている金額の給付を目的とする金銭債権。
そして、手形債権と小切手債権を称して「廻り手形」といいます。
・他社から(自社宛に)受け取った手形を裏書することによって、そのまま他社の支払いに充てる手形をいいます。
ちなみに手形の振出人が決済不能になれば、当然のことですが裏書人に支払義務が発生します。
それ故、手形の振出人だけでなく裏書人の使用状態もきちんとチェックする必要があります。